マタニティマークは、本来妊婦さんが周囲から配慮を受けるためのサイン。しかし、なぜこのマークが嫌がらせの対象になるのでしょうか?
実際には、マタニティマークに対して「アピールがうざい」「むかつく」とった反応がり、マタニティマークを隠す対策をしている妊婦さんもいるようです。
では、どうすれば嫌がらせや危険を避けつつ、マタニティマークを安心して使えるのでしょうか?本記事では、実際の体験談に基づく予防策を紹介します。
(トップ画像引用:厚生労働省)
マタニティマークが嫌がらせを招く理由とは?
マタニティマークは、妊産婦がより安全で快適に過ごせる社会を目指して、2006年3月に国によって定められたマークです。ピンク色ののハートマークに母子のイラストが描かれ、「おなかに赤ちゃんがいます」のメッセージが添えられ、周囲の人々に妊婦さんへの配慮を促す役割を担っています。
しかし、妊婦を狙った事件も起きているのも事実です。
嫌がらせの体験談
2020年には、妊婦を蹴った男性が逮捕される事件がありました。
妊婦を狙った事件
2020年6月、北海道札幌市の路上で20代の妊婦の腹部を足で蹴ったとして、当時51歳の男性が暴行容疑で逮捕されました。7歳と5歳の子どもを連れた妊娠7ヶ月ママさんに対して、「道を塞いでいて邪魔だ」と暴言を吐き、大きなお腹を蹴ったという事件。(朝日新聞DIGITAL)
さらに、近年ではマタニティマークを付けている人を狙ったひったくり被害も報告されています。(中央日報)ネット上では、以下のような体験談もありました。
- 後ろから突き飛ばされた
- お腹を叩かれた
- 優先席で舌打ちされた
- 電車内で席を譲ってくれた人から「わざとらしい」と言われた
- 「妊娠は病気じゃないから席を譲りなさい」と老人から言われた
- 若いのに優先席なんておかしいと言われた
- 妊婦は場所を取るから電車に乗るなと言われた
マタニティマークが嫌がらせを招く理由
マタニティマークに対する嫌がらせや否定的な反応には、いくつかの理由が関係していると考えられます。
考えられる理由は次のとおりです。
- 妊婦であることや幸せアピールしている
- 座席を譲ってもらえるのが当たり前の態度
- 高齢で未婚の人や不妊治療に取り組む人にとっては辛い
- 妊娠中であることをわざわざアピールする必要がない
- 他にも具合が悪い人がいるという批判
- そもそも妊婦は病気ではないという考え方
マタニティマークは、妊婦であることを誇示しているように捉えられることもあるようです。また、電車内では座席を譲ってもらえることが当然だという態度に見られ、誤解を生むこともあります。
また、不妊治療中の方や流産を経験した方にとって、マタニティマークをつけた女性を見るのがつらいと感じる場合もあるようです。他にも「妊婦は病気ではない」「体調不良の人もいる」という視点から、妊婦を特別扱いすることに批判が寄せられることも考えられます。
マタニティマークはつけるべき?
妊婦さんを守るためのマークですが、世間がこのような風潮になっていると、つけるのをためらってしまう気持ちも分かります。マタニティマークはつけるべきなのでしょうか?
マタニティマークに関する実態を見ていきましょう。
約30%の妊婦さんがマタニティマークをつけていない実態
たまひよが行った妊娠初期の方を対象にした調査によると、約30%の妊婦さんがつけていないと回答しています。
(画像引用:たまひよ)
マタニティマークは持っているものの、シーン別でつけたり隠したりと場面に応じて利用している方が多い印象です。
一般人と妊婦さんの認識にずれがある
マタニティマークに対して、一般人と妊婦さんで認識にづれがあることも否定的な意見が多い理由のひとつです。(参照:エコンテ「マタニティマークに関する意識調査」)
(画像引用:エコンテ)
マタニティマークを「緊急時に知らせるもの」として身につけている妊産婦が半数以上なのに対し、一般の人は「サポートしてもらうためのもの」「アピールするもの」という認識が8割以上。このように、一般人と妊婦さんのマタニティマークに対する考え方のずれが生じています。
<結論>常に携帯して状況に応じて使い分けよう!
マタニティマークは、妊婦であることを周囲に伝えるための有用なアイテムです。持っていると必要な配慮を受けやすくなり、安心感を得ることができます。
さらに、緊急時には救急隊や救助の人に妊娠中であることを伝えられるため、適切な処置や対応が受けられるでしょう。ただし、一部の人からはマタニティマークに対して否定的な意見もあります。
そのため、シーンに応じてつけたり隠したりするのも一つの選択肢です。自分にとって心地よい方法で活用し、周囲の状況に応じてマタニティマークを上手に活用してください。
マタニティマークは、柔軟に使い分けることが大切です。
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嫌がらせや危ない状況への対応策
妊婦さんは、実勢にどんな場面でマタニティマークをつけているのでしょうか?体験談を通じて解説します。
必要な時だけ見える位置につける
マタニティマークは、約40%の人が常時着けているものの、日によってつける場所を選ぶ人もいるようです。
- 公共交通機関を利用する時
- つわりが酷い時
- 座っている時
いつもはバッグの内側にしまっておいて、必要な時だけ見える位置につける方法もおすすめです。このようにすることで、周囲への配慮を保ちつつ、必要なサポートが受けやすくなります。
病院・職場ではつけない選択肢も
病院、職場ではマタニティマークをつけない妊婦さんも一定数います。婦人科などの医療機関では、不妊治療を受けている方や妊娠を望んでいる方に配慮するため、マタニティマークをつけないとう考え方もあります。
また、職場では妊婦であることを周囲に知らせることで、同僚や上司に気を使わせてしまうという理由からつけない人もいるでしょう。今までと変わらず仕事をこなしていきたいという理由から、あえてマタニティマークをつけずに働く方もいるようです。
このように、周りへ配慮しつつ、マタニティマークを使い分けることで、より安心したマタニティライフを過ごせるでしょう。
通勤緩和制度を活用する
産休ギリギリまで通勤が必要な人は、「通勤緩和」の制度を活用しましょう。通勤中のストレスは、つわりの悪化や流産、早産につながる恐れもあります。
厚生労働省では、主治医から妊婦さんに対して「通勤緩和」の指導があった場合、事業主により以下の措置が法律で定められています。(参照:厚生労働省委託「母性健康管理サイト」)
通勤緩和の措置の内容例
- 時差通勤
- 勤務時間の短縮
- 交通手段・通勤経路の変更
公務員や一部の企業では、有給休暇を時間単位で取得できるようにし、通勤時間を短縮しても給料を維持できる取り組みもあります。
妊娠中の満員電車はニオイ問題などなかなかしんどいので、時間差通勤を活用しましょう!
サポートを受けたら感謝の気持ちを示そう
妊婦さんが周囲のサポートを受ける際は、感謝の気持ちを示すことが大切です。マタニティマークに否定的な意見を持つ人のなかには、
- 妊婦の態度がでかい
- まるで妊婦様のようだ
- 周りの人を押しのけて座った
など、良くない印象を持つ方も少なくありません。嫌がらせや危ない状況にならないためにも、公共交通機関ではきちんとマナーを守り、周囲に配慮する姿勢が求められます。
妊娠初期はつわりや体調不良など、見た目では分かりづらいつらさがあるかもしれません。それを理解してもらうためにも、周囲の思いやりに対してしっかりと感謝の気持ちを伝えましょう。
マタニティマークの素敵なエピソード
マタニティマークをつけている人の素敵なエピソードを集めました。
躊躇していたけどつけてよかった!
最近やっとマタニティマークを外に出してつけるようになったんやけど、結構席譲ってもらえてありがたい…いろいろ嫌な噂も聞いてたから躊躇してたけどつけてよかったと今のところ思ってる
— ちょ (@4615FNDYDAwx4Hy) March 22, 2021
意外とおじさま方が譲ってくれる
声をかけてくれて嬉しかった
銀行の窓口に改姓の手続きに行ったら、窓口の方が私のリュックにマタニティマーク付いてるのに気付いて、「今何ヶ月目ですか? 体調は大丈夫ですか?」って声掛けてくれて嬉しかった☺️
— 留菜🦇😈 (@onelad2night7) September 12, 2022
ノンカフェインの提案をしてくれた
とあるカフェでチーズケーキとカフェオレ☕️頼んだら、
— まめ®︎@2y0w (@mamechan0412) January 16, 2020
男性店員さんが私のバッグのマタニティマークに気付いて
「カフェオレ、カフェイン大丈夫ですか?デカフェの紅茶もありますよ」
「もっと広い席に変えますか?」
と声かけてくれたの嬉しかったな〜☺️✨
きっと家でも優しいパパなのかな〜🕺 pic.twitter.com/vZSTyINvzG
このように、嬉しい声も見受けられます。否定派の意見はごく一部に過ぎませんが、妊婦さんが心地よく過ごせる環境になるためには一般の方も正しく理解する必要があると感じています。
マタニティマークはどこでもらえる?
マタニティマークがもらえる場所
- 母子手帳交付時にもらう
- 健診先の病院
- 厚生労働省のHPからダウンロードする(参照URL:厚生労働省)
- 鉄道会社の窓口
- 飛行機のチケットカウンター
- 安産祈願のできる神社で購入
- ネットショップで購入する
母子手帳とともに交付される場合や、JRや私鉄の主要駅でもらえます。ネットではDisneyなどキャラクターの商品も販売されていますよ。
まとめ
マタニティマークは、緊急時に役立ちます。急な体調不良が起きた場合、マタニティマークを見るだけで、妊婦であることを前提に適切に対処してもらえます。
嫌がらせや事件が怖く、つけるのに躊躇している人は、バッグの中にしのばせておいて、必要な時だけつけるようにしてもいいでしょう。妊婦さんに優しい配慮ができる世の中になってほしいと願うばかりです。ご覧いただきありがとうございます。