「英語を活かした仕事がしたい」「グローバルな仕事をして自分を高めていきたい」と貿易事務に興味を持っているけど、専門知識が必要で未経験での就職は難しいのでは?と思っている方もいらっしゃいますよね。
この記事では、華やかなイメージのある貿易事務の仕事について、未経験でもチャレンジできるの?どんなスキルが求められてているの?という疑問にお答えします。
メーカー勤務の元貿易事務OLが現場の本音を解説します!
そして仕事上で一番大切な『7つのやりがい』について、筆者の実体験をもとにお伝えするので、仕事内容のイメージが湧きやすくミスマッチが防げる記事になっています!未経験で貿易事務にチャレンジしたい方は、ぜひこの記事を参考にしてみてくださいね。
筆者のプロフィール(職歴)はこちら↓からご覧いただけます。
貿易事務とは?
「貿易事務」とは、輸出入をする際に必要な事務手続きを行う仕事です。輸送、通関ルールといった国際物流に関する専門知識が必要な仕事で、一般の事務職に比べると専門性の高い分野と言えるでしょう。
また、海外とのやり取りも多く、英語のスキルを活かしたい人、外国と関わりを持ちグローバルな視点で働きたい人に人気があります。
雇用形態も正社員から派遣社員、アルバイト、パート勤務など、ライフスタイルに合わせた働き方ができるのも魅力です。
仕事内容は?
貿易事務の仕事内容は主に以下の仕事がメインです。
- 貿易、通関書類の作成
- 運送便の手配、倉庫の管理、スケジュールの調整
- 納入品管理
貿易事務の仕事は通関書類の作成や、運送便の手配、倉庫の管理といった業務があり、輸出する際には工場へ出荷依頼を行い、輸送用の飛行機や船、コンテナ便の手配など様々な段取りが必要になります。
また、注文を受けた品物の量や納期データの管理、自社工場の在庫量のチェックなど幅広い業務を担当します。
どんな業界があるの?
同じ貿易事務の仕事でも働く業界によって仕事内容は様々です。どのような業界があるのか解説します。
①メーカー
メーカーでの貿易事務の仕事は、自社製品の輸出入に関わる手続きがメイン。国内で生産した製品の輸出、または海外工場で生産した製品の逆輸入を行います。大手メーカーでは業務が細分化されており、比較的ルーティンワークで残業が少ないという場合が多い印象です。
筆者は1年間の留学経験から英語力を活かしていきたいと考え、メーカーの貿易事務の仕事に新卒として採用されました。
②商社
商社ではメーカーの代理店として商品の輸出入を行い、海外メーカーの商品を日本に輸入する輸入業務と、国内メーカーの商品を海外へ輸出する輸出業務があります。そのため、商社では輸出入の両方に関わる機会が多い点が特徴です。
③フォワーダー
フォワーダーとは依頼主と輸送業者の間に立って、物を輸出入する時に必要な通関業務や運送手段の手配を行う仲介業者です。自社では輸送手段や倉庫を持たず別会社の輸送手段を利用して、依頼主である商社やメーカー、船会社、航空会社などと交渉しながら輸送手続きを進めます。
フォワーダーの貿易事務は専門的な知識が必要であるため、未経験での就職は難しく、経験者の求人が多い傾向です。また、フォワーダーの専門的な経験から将来的には通関士の資格を取得して、キャリアアップを望める業界です。
④船会社、航空会社での貿易事務
船会社、航空会社での仕事は、自社の運搬手段を使って輸出入者の貨物運送を行う業務。通関手続きはフォワーダーが行い、依頼主や外部の協力会社とのやり取りが中心となります。通関に関する業務はなく運賃の見積もり、輸送スケジュールの調整、入出港する港との交渉など輸送関連に特化した仕事です。
自社内での調整事項が多いため、未経験者でも比較的働きやすい業界です。そのため一から経験を積んでいきたい方に向いています。
貿易事務は未経験でもできるの?
実際に大手求人サイトや派遣サイトで「未経験、貿易事務」で検索し、未経験求人案件についてリサーチしてみました。
求人サイト | 求人数 |
リクナビネクスト | 82社 |
マイナビ転職 | 45社 |
doda | 55社 |
リクナビ派遣 | 1374件(※関東圏) |
大手転職サイトののリクナビネクストやマイナビ転職などでは、未経験からチャレンジできる貿易事務の求人案件が確認できました。また、正社員だけではなく派遣社員、アルバイトなどの雇用形態の求人も多くありました。(※2022年3月時点)
求人条件を見てみると、未経験求人ではあるものの、一般的なPCスキル(Word、Excel、PowerPoint)は必須条件としている企業がほとんどです。さらに、TOEIC600点以上など英語スキルを求める企業や、営業書類作成、納期調整、在庫管理の経験者を条件とする企業もありました。未経験の貿易事務は求人数は多いですが、事務経験や社会人経験がないと応募条件に合わず就職が難しい可能性があります。
しかし、あなたが今まで働いてきた経験やスキルは、異業種でも貿易事務の仕事に充分活かせます。次の章では、どんなスキルが貿易事務として求められているのかを徹底解説していきます。
貿易事務に求められるスキルとは?
貿易事務に求められるスキルは以下の通り
- 事務処理能力
- 語学力
- コミュニケーション能力
- 臨機応変さ
- 時間管理能力
事務処理能力
貿易事務は未経験の求人が多くありますが、一般事務と同じように社会人としての一般常識やビジネスマナーは必須条件です。また、書類上の業務が多いため、ワードやエクセルなどのオフィスソフトは基本的に使えるようにしておきましょう。
語学力
貿易事務では、契約書、貿易関連書類など、ほぼすべての書類に英語が使われるため、輸出入に関する英文書類の作成やチェックができるレベルの英語力は必須です。部署によっては海外の取引先からの電話やメールを受け取ることもあります。
筆者の場合、海外の取引先からかかってくる電話の内容を聞き取れるリスニング能力も必要でした
このように語学力が必要になるため、客観的に英語力を提示できる「TOEIC」の試験を受けておくことをおすすめします。
また、近年では市場のグローバル化に伴い、英語だけではなく中国語やその他の語学力があれば、就職活動の際の大きなアピールポイントとなるでしょう!
コミュニケーション能力
貿易事務は、取引先の海外企業や社内の営業担当者、入出庫担当、輸送担当など、1つの業務で多くの関係先と連携し調整する仕事です。この点が一般の事務員との大きな違い。そのため、それぞれの場面に合わせた伝達能力、つまりコミュニケーション能力が必要です。コミュニケーション能力が高い人材は、企業にとっては採用の決め手となる大きなポイントです。
臨機応変さ
筆者が貿易事務として大変だなと思ったことは、天候による船便の遅延。
予測できない事態が起きた場合は、慌てず関係各所すべてに遅延のお知らせ、段取りの再調整が必要です。海外とのやり取りは、日本では当たり前のことが文化や習慣の違いでスムーズに行かない場合も。そして、政治情勢が安定していない国との取引は仕事に影響が出ることもあります。このように海外相手だからそイレギュラーな状況にも対応しなければならないため、臨機応変さが求められます。
時間管理能力
貿易の仕事は、一度商品が動き出したら待ってはくれません。国内外の業者へ発注が決まった段階で、輸入通関の手配、倉庫管理、輸送管理をスケジュール通りに段取りを行わなければなりません。
途中で停滞することなくスムーズに流通するためには、時間管理能力が欠かせません。今まで経験してきた業務の中で「仕事を効率的に進めてきた」「納期をしっかり守ってきた」という実績をお持ちの方は、未経験でも自信を持って貿易事務にチャレンジできるでしょう。
また、海外とのやり取りは文化や商習慣の違いなど理解を深めながら仕事をしていくため、グローバルな視点で仕事が進められる人にもおすすめの職種です。
経験者が教える貿易事務の7つのやりがい
実際に貿易事務を経験してきた筆者が感じた、「7つのやりがい」をお伝えします。
①専門知識が身に付く
貿易事務の仕事は、輸出入に関わる仕事をしていきながら、国際取引に関する法令、貿易関連書類の知識など輸出入に関する専門知識が身に付きます。また、納期の遅延やスケジュールの変更といった不測の事態への柔軟な対応も、無事に完遂すれば仕事の達成感が得られます。
筆者は、会社の自己啓発セミナーを利用して、個人輸入の勉強もしていました!
②グローバルな視野が持てる
外国とのやり取りが多い貿易事務は、海外の情勢や文化に触れることで常に国際ビジネスの最先端に携わることができます。そのため、世界の市場規模や為替の動向といったグローバルな視点を持って仕事に関わることが可能です。
また、仕事で得られた海外との人脈は、自分自身のキャリアアップや貴重な財産にもつながります。
③語学力が身に付く
貿易事務で作成する書類は、インボイス、パッキングリストなどほとんどの貿易書類が英文書です。また、海外の取引先とのメールや電話連絡など英語を使う場面も多く、英語力を活かしていきたい方にはぴったりの職種です。
働きながら英語力を鍛えて行ってもいいですし、きちんとしたビジネス英語を学びたいと英会話教室に通って自分を高められます。
時には、取引先の海外のクライアントが日本に挨拶に来ることも。日ごろから勉強している英語力を発揮できる機会もあり、より多くの仕事を任せてもらえるチャンスがあるかもしれません。
④輸出入業務のスペシャリスト「通関士」を目指せる
貿易事務として実務経験を積みながら、輸出入業務のスペシャリストである「通関士」の資格を目指すことができます。通関士は国家資格であり、税関を通るために必要な業務を代行する専門職です。通関士の資格を取得すれば業務範囲が広がるだけではなく、企業内でのキャリアアップが望めます。
より専門性の高い分野にチャレンジしたい!さらに上を目指していきたいと、目標を持てる点も仕事のやりがいとなるでしょう。
⑤自社以外からの評価が得られる
自社以外にも多くの関係者とのやり取りが多い貿易事務の仕事では、社外の方から「○○さんのおかげでスムーズに納品できた」「急な変更があったけど細やかに対応してくれてありがとう」など、感謝の言葉や評価をいただくこともあります。自社以外からの評価が得られるため、仕事へのやりがいやモチベーションアップにつながります。
⑥長く働ける
専門性の高い貿易事務の仕事は、知識や経験を積み重ねていけば出産や育児で長期間仕事を離れても、職場に復帰しやすい環境です。
働き方も幅広く、正社員や派遣社員、アルバイト、パートなど生活スタイルに合わせて仕事ができるため、やりがいを感じ続けられる仕事です。
⑦キャリアアップ・キャリアチェンジができる
貿易事務では商社や、メーカーだけではなくフォワーダー、船会社、航空会社など様々な業界が存在します。そのような同業他社への転職先として、専門知識を持っている貿易事務は即戦力となる人材です。自分のスキルを活かしてキャリアアップできる点も、仕事のやりがいのひとつ。
また、現場で培った経験は異業種への転職にも大きなアピールポイントとなるため、キャリアチェンジも可能です。
筆者も出産後、貿易事務の経験を活かして物流会社へ再就職しました。
まとめ
貿易事務の仕事内容から求められるスキル、7つのやりがいについて解説して来ました。貿易事務の仕事は未経験の方でもチャレンジできる職種です。筆者が感じた7つのやりがいは、次のステップアップにもつながる大きなメリットであると感じています。
まずは、あなた自身の持っているスキルを自己分析して、貿易事務の仕事にトライしてみてはいかがでしょうか?
きっと新しい世界がそこには待っています。あなたにとって、よりよい就職活動となることをお祈りしています。