大学のミスコンは美しさや才能を競い合うイベントとして、今まで多くのアナウンサーや芸能人を輩出してきました。しかし、近年では、ミスコンのひどい実態が次々と明らかになり、廃止を求める声も高まっています。
本記事では、大学ミスコンに対する疑問や批判が高まる中で、その背後に隠された問題点を掘り下げます。過去のミスコンにおける事件やスキャンダルなど、ひどい実態を調査し、今後のミスコンのあり方について探求します。
(トップ画像引用:CMNOW)
大学ミスコンのひどい実態
大学ミスコンは1970年代後半から各地で広まったと言われています。しかし、全国に広まるにつれて、各大学ではひどい実態が報告されています。
早稲田大学「2003年ミス早稲田キャンパスアイドルコンテスト」
早稲田大学のミスコンでは、候補者が浴衣や水着で登場。水着のまま「尻相撲」やスーパーフリフリゲーム(腰に万歩計を付けて歩数を競う)など、過激な企画が行われ、学校内外で大問題となり批判が殺到しました。
また、2003年、早稲田大学のイベントサークル「スーパーフリー」が集団強姦事件を起こした過去があり、早稲田大学側は「過去の不祥事を想起させる不適切な企画があった」として、これを機にミスコンを中止しています。
スーパーフリー事件の詳細はこちら(Wikipedia)
慶應義塾大学「ミス慶應コンテスト」
慶應義塾大学では、ミスコン・ミスターコンがらみの学生によるひどい性暴力事件が立て続けに起きています。
2016年8月:「ミス慶應コンテスト」主催者である広告学研究部員ら6名による性暴力事件が発覚し、集団準強姦の疑いで書類送検(EXCITEニュース)
2017年8月:ミスター慶應SFCコンテスト2015に出場していた学生が、帰宅時途中の女性にわいせつ行為を働き逮捕(ニュース速報Japan)
2018年9月:「ミスター慶應コンテスト2016」に出場していたファイナリストが暴行と準強制性交の疑いで逮捕(JCAST)
慶應義塾大学では広告学研究会に解散命令を出し、「2019年ミス慶應コンテスト」は中止されています。
東大ではセクハラ被害も
「ミス東大コンテスト2020」では、ひとりの候補者が運営する「東京大学広告研究会」に対してセクハラや運営体制の批判を訴えています。
<セクハラについてです。外部へのお披露目に先行して、内部でファイナリストお披露目会というものがあるのですが、そこで広研の方に皆の前で、生々しい性的な質問を複数されるなど、不快なセクハラがありました>
セクハラ被害は、東大だけではありません。「ミス慶應2019」のファイナリストの一人が、コンテストのプロデューサーである40代の会社社長からセクハラ被害に遭ったと「週刊文春」が報じています。(参照:exciteニュース)
課金ゲーム化
(画像引用:CAMPFIRE)
近年の大学ミスコンでは、「課金ゲーム化」していることもひどい実態として問題視されています。例えば、東大のミスコンでは主催する東京大学広告研究会が、クラウドファンディングを実施し、5,000円の支援を行った人にはグランプリを決定する投票権が配布されました。
これにより、ミスコンが一種の「課金ゲーム化」しているとの疑惑が浮上しています。
スポンサー問題
(画像引用:miss of miss)
大学のミスコンには、スポンサー企業が関与することも少なくありません。慶應義塾や中央大学のミスコンでは、コンテストの正式名称の後に「supported by リゼクリニック」というスポンサー名がついています。
リゼクリニックとは
リゼクリニックは医療脱門専門のクリニックです。リゼクリニックでは2022年度、全国の13大学・24コンテストのミスキャンパス・ミスターキャンパスに協賛しています。
具体的には、ミスコンのグランプリには、
賞金20万円、全身医療脱毛30万円、そしてファッション誌「Can Cam」の掲載権が与えられます。
しかし、こうした商品やスポンサー企業のサポートが、ミスコンの魅力として強調されることで、本来のミスコンの主旨や価値観が不透明になることが懸念されています。
大学ミスコンに隠された問題点
ここまでは、大学ミスコンにおけるひどい実態を検証してきました。これらの背景には、大学ミスコン自体に隠されたさまざまな問題点が影響しています。
本章では、その問題点に焦点をあてて解説します。
疑問を感じる学生も
(画像引用:X)
大学ミスコンのひどい実態を受けて、東京大学では「ミスコン&ミスターコンを考える会」を2019年に設立しています。この団体は、メンバー全員が女性で構成されており、ビラの配布やXでの発信など、ソーシャルメディアを通して情報発信を行っています。
2020年10月下旬には、
「私たちはしんどさを感じ、コンテストがなくなって欲しいと思っています」
とネット上で声明を公開。東大コンテストを主催する団体や大学側に対し、開催中止を求めています。
また、お茶の水女子大学を中心としたグループ「OchaDiversity」では、お茶の水女子大のミスコン実行委員宛に現在の投票形式の廃止など、見直しを求める要望書を提出しています。(参照:OchaDiversity)
このような学生の行動は他の大学にも波及し、大学ミスコンに対する議論と変革の動きが全国的に広まりつつあります。
審査基準が不透明
大学ミスコンの問題点のひとつは、評価基準の不透明さです。例えば、筋トレ系のコンテストなどでは、特定の観点に基づいて評価が行われることが一般的ですが、大学ミスコンではそのような基準が言語化されておらず、多くの主催者団体が公表していません。
また、評価が主催者側の主観的な判断に依存する傾向があり、公平性に疑念を抱く学生が増加しています。
ルッキズムへの疑問
大学ミスコンの評価基準が、外見に重点を置いていることは、ルッキズム(外見重視主義)の助長につながると懸念されています。
ルッキズムとは
ルッキズムとは
人々が外見に基づいて他人を判断し、美しい見た目を持つ人ほど、強い影響力を持ち優遇される状況を指し、容姿を理由として人を差別すること。
コロナの影響もあり、近年のミスコンでは、候補者たちがSNSを通して自己アピールを行い、チケットを購入した一般の方もオンラインで投票できる大学も存在します。そのため、学外の人が「女らしさ・男らしさ」という画一的な固定観念により、出場者を評価する現状も指摘されています。
ジェンダー問題
(画像引用:Ray)
多様な価値観を認めようという社会の中で、大学ミスコンの「ジェンダー問題」が浮上しています。一例として、
- 「ミス・ミスター」の称号を使用する
- ファイナリストにウェディングドレスやタキシードを着せる
など、男女二元論を強調する要素が存在します。
男女で参加者を区別することは、性別マイノリティの方への偏見や性差別を助長し、ミスコン・ミスターコンから一部の人々を排除する可能性があることから、ジェンダー問題として批判の声が出ています。
ミスコンを廃止する大学が増加中
このようなひどい実態や批判を受けて、ミスコンを廃止する大学が増えています。
【ミスコンを廃止している大学の一例】
- 国際基督教大学
- 法政大学
- 東京女子大学など
国際基督教大学の有志団体「ICUのミスコンに反対する会」では、ミスコンへの異議を唱え、2011年以降ミスコンを廃止しています。(参照URL)また、法政大学は2019年から、東京女子大学では2022年5月に「ミスコンやめます」とSNSで発信し、ミスコンの廃止を宣言しました。
審査基準を変えた大学
このような廃止の流れの影響で、大学ミスコンは審査基準や形を変えて開催する大学もあります。
上智大学
上智大学では1980年代から続いた「ミスソフィア」を2020年に廃止、新たに「ソフィアンズコンテスト」を開催。新たなミスコンは、「ミス・ミスター」という男女の区別をなくし、性別やジェンダーを問わず候補者を募集し、「SDGs部門、スピーチ部門、自己PR部門」と審査基準も工夫を凝らしています。
慶應義塾大学
慶應義塾大学では、2018年より運営する団体を変更し、従来のミスコンで評価されるような一様の基準にとどまらない、新しい価値観を提示できるコンテストを目標として活動することを公表しています。
「2020年慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)」のミスターコンでは、女性がファイナリストに選出されています。
(画像引用:DIAMONDonline)
立命館大学
(画像引用:miraclegirl)
立命館大学では、「お面でお顔を隠す」ことによって、従来のミスコンとは少し違った観点で参加者が活躍する機会を提供する「ミラクルガールコンテスト」を開催。参加者の方は
匿名・顔出しなしでエントリーできる
というもの。
大学ミスコンを廃止する動きに伴い、『自分らしく輝けるコンテスト』としてあえて外見を出さない場を提供したのだそう。参加者の多様な輝きや魅力を引き出せるよう、「言葉遣いが素敵な人に贈る賞」など、さまざまな分野別の賞を設けています。
大学ミスコンに対する肯定派の意見
大学ミスコンに対しては、否定的な意見だけではなく、肯定派の意見も存在しています。
- 参加は志願者の自己選択
- 努力が評価される
- セルフプロデュース力を高められる
- 将来の職業選択に役立つ
ミスコンへの参加は、志願者の自己選択です。セルフプロデュースによって自分の魅力や個性を最大限に発揮して、それまでの過程や努力が評価されるコンテストです。
このようなミスコンの経験が、公の場でのプレゼンテーションや表現力を向上させ、将来の職業選択に役立つというメリットもあります。
今後の大学ミスコンのあり方
大学ミスコンは、近年、そのあり方についてさまざまな議論が交わされています。否定的な声や肯定的な意見など、多様な意見が存在する中で、今まで黙認されてきた問題や疑問が浮上しています。
ジェンダー平等やルッキズムなどの社会問題が進む中で、このような議論は今後の大学ミスコンのあり方を考える上で重要な機会です。学生や関係者が声を上げ、議論を深めることで、大学ミスコンの新たな可能性を探ることができるでしょう。
まとめ
大学ミスコンのひどい実態や、その背後に隠された問題点を深掘りしました。ミスコンは、学生の活躍や社会への発信の場として、大きな可能性を秘めています。
今後もさまざまな議論を重ねて、学生にとって意味のあるミスコンを実現していくことを願っています。ご覧いただきありがとうございます。
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